コラム
神奈川県の空き家相談窓口として感じる、空き家を放置するとどうなるか
SPIプロパティでは神奈川県居住支援協議会の空き家相談事業者としても活動しており、空き家でお困りの本当にいろいろな方から相談を受ける機会があります。
先日も、ご両親が施設に入居されたことで空き家になったご実家について、ご相談をいただきました。
「まだ荷物も片付いていないし、正直どこから手をつけていいかわからない」とおっしゃっていたのが印象的でした。
こうしたお話は、この窓口では決して珍しいことではありません。
正直にお伝えすると、空き家は放置すればするほど、状況は悪くなっていきます。
今日はこの窓口で日々感じていることを、少し整理してお伝えしたいと思います。
■まず、物理的なリスクが年々大きくなります
人が住まなくなった家は、想像以上に早く傷みます。換気がされず湿気がこもることで木材が腐食し、シロアリなどの害虫も発生しやすくなります。数年放置された空き家を実際に見ると、屋根の一部が崩れていたり、外壁が剥がれ落ちていたりすることも珍しくありません
。
物理的な老朽化だけでなく、防犯面のリスクも見過ごせません。
人の出入りがないことが周囲にわかると、不法侵入や不法投棄、放火のきっかけになってしまうこともあります。雑草が伸び放題になったり、外観が荒れてきたりすれば、近隣の方からの苦情や、ご近所トラブルに発展することもあります。
■行政からの「指導」「勧告」にもつながります
空き家に関するルールを定めた「空家等対策の推進に関する特別措置法」(空家法、平成26年制定)では、管理が不十分な空き家に対し、市区町村が助言・指導、勧告、命令、そして最終的には行政代執行(強制的な解体等、費用は所有者に請求されます)まで行える仕組みが定められています。
さらに令和5年12月13日に施行された改正法では、これまでの「特定空家等」に加えて、「管理不全空家等」という区分が新たに設けられました。これは「このまま放置すれば特定空家等になるおそれがある」段階の空き家を指すもので、以前よりも早い段階から行政の指導・勧告の対象になり得るということです。
■税金にも直結する話です
見落とされがちですが、これは固定資産税にも関わってきます。住宅が建っている200㎡以下の土地には「住宅用地の特例」があり、固定資産税の課税標準が評価額の6分の1に軽減されています。ところが、特定空家等または管理不全空家等として勧告を受けると、この特例の対象から除外されてしまいます。
たとえば評価額1,000万円・200㎡以下の土地であれば、特例が適用されている状態の固定資産税額は年間およそ2万3千円ですが、特例が外れると年間14万円ほどになる、という単純計算になります(標準税率1.4%で試算、実際には負担調整措置等により金額は変動します)。何もせず放置していると、ある日突然、税負担が跳ね上がる可能性があるということです。
■窓口でよくご提案する選択肢
空き家相談の窓口では、状況に応じていくつかの選択肢をご案内しています。賃貸に出して活用する、リフォームしてご自身やご家族が住む、解体して更地として活用・売却する、あるいはそのまま売却する、といった方法です。ただ、実際にお話を伺っていくと、「賃貸に出すほど状態が良くない」「解体費用まで捻出できない」「そもそも名義が自分一人ではない」といった事情で、選べる選択肢がかなり限られてしまっているケースが多いのが実情です。
■一番多いのは、実は「一人では決められない」という相談
ただ、窓口で相談をお受けしていて一番感じるのは、こうした制度の話よりも前に、「誰か一人の意思だけでは決められない」というケースが本当に多いということです。実家を相続した兄弟姉妹の間で意見が割れていたり、そもそも相続人が誰なのか把握しきれていなかったり。空き家問題は、突き詰めると建物そのものの問題というより、「権利関係」や「相続」の問題であることがほとんどです。
これは私たちが底地や共有持分の買取を専門にしている理由とも、実はつながっています。空き家も、底地も、共有持分も、根っこにあるのは同じ「権利が複雑に絡み合っている不動産をどう動かすか」という問題だからです。
放置していても、状況が良くなることはありません。
むしろ、時間が経つほど選択肢は狭まっていきます。「うちの実家、どうしたらいいんだろう」と感じたそのタイミングが、実はご相談のベストタイミングです。
空き家のこと、そしてその先にある相続や共有持分のことも含めて、お気軽にご相談ください。
SPIプロパティ株式会社







