コラム
地価上昇で底地・共有持分の価格は上がる?
2026年地価調査から見る、底地・共有持分の価格への影響
2026年9月、国土交通省から「令和8年都道府県地価調査」が公表されました。
今回の調査では、全国平均で住宅地・商業地・全用途のいずれも5年連続で地価が上昇。三大都市圏でも上昇傾向が続き、特に東京圏や大阪圏では上昇幅が拡大しています。
不動産を所有している方にとって、「地価が上がっている」というニュースはやはり気になるところではないでしょうか。
底地や共有持分を所有している方からすると、
「普通の土地が値上がりしているなら、自分の底地も高くなっているのでは?」
「共有持分も以前より高く売れるのでは?」
と考えるのは自然なことだと思います。
結論から言えば、地価上昇は底地や共有持分にとってもプラス材料です。
ただし、一般的な土地と同じように価格が上昇するとは限りません。
底地や共有持分には、それぞれ特有の権利関係があるからです。
今回は、地価上昇が底地・共有持分の価格にどのような影響を与えるのか、実際の不動産取引の視点から考えてみたいと思います。
地価が上がれば底地や共有持分も高くなる?
まず基本となるのは、底地や共有持分も「土地そのものの価値」をベースとして価格が考えられるという点です。
たとえば、数年前に完全所有権として5,000万円だった土地が、地価上昇によって6,000万円になったとします。
当然、その土地に設定されている底地や共有持分についても、価格を考える際のベースとなる金額が上昇します。
そのため、地価上昇は基本的にはプラスです。
しかし、
土地価格が20%上昇したから、底地も共有持分も必ず20%上昇する
という単純なものではありません。
ここが一般的な土地と少し違うところです。
底地は「地価」だけでは価格が決まらない
底地とは、土地所有者とは別に借地人が存在し、その借地人が土地の上に建物を所有している状態の土地をいいます。
地主さんは土地を所有していますが、借地権があるため、自由に建物を建てたり、自分で利用したりすることはできません。
このため底地の査定では、土地相場だけでなく、
- 現在の地代
- 固定資産税・都市計画税
- 借地契約の内容
- 更新時期
- 更新料の有無
- 借地人との関係
- 将来的な権利整理の可能性
などを総合的に見て価格を判断します。
たとえば、地価が大きく上昇していても、地代が何十年も据え置かれている場合があります。
土地価格は上がっているのに、
「年間地代はほとんど変わっていない」
というケースです。
底地を投資として購入する人からすると、地代収入に対して購入価格が高すぎれば利回りが下がります。
そのため、地価上昇分がそのまま底地価格に反映されないこともあります。
借地人に売却する場合は地価上昇の影響を受けやすい
一方、底地の場合に地価上昇の影響が比較的大きく出やすいのが、借地人が底地を購入するケースです。
借地人はすでに借地権を持っています。
そこに底地を取得すると、
借地権+底地=完全所有権
となります。
借地人からすると、
- 毎月の地代負担がなくなる
- 更新料の問題がなくなる
- 建替えや売却時の地主承諾が不要になる
- 土地建物を完全所有権として売却できる
といった大きなメリットがあります。
完全所有権としての土地価格が上昇していれば、借地人にとって「底地を買って所有権化する価値」も大きくなります。
そのため、
第三者の底地買取業者が評価する価格
と
借地人が購入できる価格
には、大きな差が出ることがあります。
ただし、借地人が必ず購入してくれるとは限りません。
購入資金の問題や、価格交渉、長年の地主・借地人関係などから、話がまとまらないこともあります。
そのため底地は、「土地相場」だけでなく、誰に売るのかによっても価格が変わります。
共有持分も同じように地価上昇の恩恵を受ける
共有持分についても、基本的な考え方は似ています。
共有持分とは、ひとつの土地や建物を複数人で所有している場合の、それぞれの所有割合です。
たとえば兄弟2人で土地を相続し、それぞれ2分の1ずつ所有しているようなケースです。
土地全体の価格が5,000万円から6,000万円に上昇すれば、当然ながら持分の基礎となる価値も上昇します。
ただし、
6,000万円の土地の2分の1持分だから3,000万円
と単純にはなりません。
なぜなら、持分だけを購入しても土地全体を自由に利用できるわけではないからです。
共有持分は「誰が住んでいるか」「他の共有者との関係」が重要
共有持分の価格では、
- 誰がその不動産を利用しているか
- 他の共有者と話し合いができるか
- 共有者同士の関係
- 持分割合
- 将来的に共有状態を解消できる可能性
- 不動産全体を売却できる可能性
などが非常に重要になります。
たとえば、土地価格が上昇していても、他の共有者が建物に居住しており、話し合いにも応じない場合があります。
第三者がその持分を購入しても、すぐに自由に利用できません。
そのため、土地全体の価格が上昇していても、共有持分の売却価格には一定の減額が生じることがあります。
逆に、共有者間で話し合いが可能で、
「将来的に全体売却できそう」
「他の共有者が持分を購入する可能性がある」
という場合は、評価が高くなることもあります。
つまり共有持分も、
地価+権利関係
で価格が決まる不動産なのです。
「昔査定した価格」のまま考えない方がいい場合も
今回のように地価上昇が数年間続いている状況では、以前に査定した価格が現在も適正とは限りません。
たとえば5年前に底地や共有持分について査定を受け、
「このくらいの価格です」
と言われたまま保有しているケースです。
その後、
- 周辺地価が上昇した
- 駅周辺の再開発が進んだ
- 借地人の建物状況が変わった
- 共有者の状況が変わった
- 地代が改定された
といった事情があれば、現在の査定価格が大きく変わる可能性があります。
底地や共有持分を長期間所有している場合には、現在の土地相場を前提として改めて査定してみることにも意味があります。
地価が上がっている今こそ「出口」を考える
不動産価格が上昇していると、
「まだ上がるかもしれないから持っておこう」
と考える方もいると思います。
もちろん、その判断が間違いというわけではありません。
ただし、底地や共有持分の場合には一般的な土地以上に、
誰に売るのか
どのタイミングで売るのか
が重要です。
底地であれば、
- 借地人へ売却する
- 専門業者へ売却する
- 地代を受け取りながら保有する
- 更新時期まで待つ
といった方法があります。
共有持分であれば、
- 他の共有者へ売却する
- 不動産全体を売却する
- 持分だけ専門業者へ売却する
- 共有関係を整理してから売却する
といった選択肢があります。
どれが正解かは、物件によって異なります。
底地・共有持分は「地価が上がった今の価格」を一度確認してみる
2026年の地価調査では、全国的に地価上昇が続いていることが示されました。
この動きは、底地や共有持分を所有している方にとっても決して無関係ではありません。
特に、
「何年も査定していない」
「相続してそのままになっている」
「地代だけ受け取っている」
「共有状態のまま長期間放置している」
という不動産については、一度現在の価値を確認してみてもよいでしょう。
底地や共有持分は、一般的な不動産以上に価格が分かりにくいものです。
だからこそ、
現在の土地相場
だけではなく、
地代・契約内容・共有関係・将来の出口
まで含めて査定することが重要です。
地価が上昇している今だからこそ、
「このまま保有するのか」
「売却するのか」
「権利関係を整理するのか」
を考えてみるタイミングなのかもしれません。
SPIプロパティでは、底地・共有持分など一般的な不動産会社では価格判断が難しい不動産についても、土地相場や権利関係を確認したうえで査定しています。
「以前査定したけれど、今はいくらになっているのか知りたい」
というご相談でも構いません。
地価が動いている今、一度ご自身の不動産の価値を確認してみてはいかがでしょうか。
SPIプロパティ 國島







